2011 Tom Hoad cup Report

text by 黒田 克己

第1戦結果

JPN  7 (1, 1, 3, 2)
FRE  8 (2, 2, 2, 2) FRE = Fremantle Mariners

日本得点者:
志水2、塩田2(PT1)、青柳1(PT1)、大川1、伊禮1

相手退水時の得点率:
日本 1/3 + PT 2/2
FRE 1/3 + PT 1/1

 マリナーズはNTCチャレンジのWestern Australia州代表チームとほぼ同じ布陣。豪州代表のAaron Younger(Wing), Tim Cleland (CB), Jamie Beadsworth(CF)が中心となって攻撃を組み立てる。日本はパス回しは良かったがラストパスのミスが多く、そこからマリナーズに速攻をかけられ苦しい展開に。FREの得点の内、4点がミドルシュート、2点が速攻によるもの。日本は最終ピリオドに入って3点差を付けられたがそこから巻き返し、相手退水後のパワープレーから伊禮が決め、その後はセンターで志水が誘発したペナルティ・ファウルを青柳が決めて1点差に。しかし、残り時間1分以内でFREが放ったシュートがコーナースローとなり、そこでFREがタイムアウトを取り、そのままゲームセット。
 明日は18:30から中国との対戦。

第2戦結果

JPN8 (2, 3, 1, 2)
CHN6 (3, 1, 2, 0)

日本得点者:
大川3、青柳2、志水1、筈井1、長沼1

相手退水時の得点率:
JPN 6/15
CHN 2/5

 中国はエースCFのYu Lijunが参加しておらず、その他もスタメンというよりは若手も取り混ぜた不可解な布陣。故障者も多い模様だが、今回は娘の結婚式で欠席のアゼベド監督の「若手も含めて競わせろ」との指示か?
 日本も伊禮が病欠、竹井が昨日の試合で相手シュートをブロックして肘を痛め、大事を取ってベンチ入りしたのみで出場はせず、又、志賀が病み上がりで一部のみ出場と苦しい台所事情。
 日本は昨日と同じくシュートミス、パスミスからの相手速攻を食らい、失点を重ねる。日本はよく泳ぎ、中国の不用意なホールディングからの退水を多く誘発するが、前半は相手退水を8本取って2得点のみ。後半になって中国主力選手の3ファウルによるゲームエクスクルージョンが増えた事もあってパワープレーの決定率が上がり、4Pで2-0と中国を振り切った。
 明日は18:30から2010-11シーズンの欧州クラブチャンピオンPartizan Belgradeとの対戦。

第3戦の結果

2010/11シーズンの欧州クラブチャンピオンのパルチザン・ベオグラードを下しました。

JPN 10(2, 3, 4, 1)
PAR 8(2, 3, 2, 1) PAR = パルチザン・ベオグラード

日本得点者:
竹井3、長沼2、大川1、青柳 1(PT1), 若松1、塩田1、永田1

相手退水時の得点率
JPN 2/6 + ペナルティ・ショット 1/1
PAR 1/4 + ペナルティ・ショット 1/1

 パルチザン・ベオグラードはセルビアの首都、ベオグラードに本拠地を置く古豪クラブチームで、欧州クラブチャンピオンズリーグの優勝経験も豊富です。今年6月には1979年にチャンピオンズリーグ決勝に進出して以来32年振りに決勝に進み、スター軍団のイタリア、プロ・レッコを破って欧州クラブチャンピオンに輝きました。
 今回Tom Hoad Cupに参加しているメンバーは若手も混じっているとはいえ、セルビア代表主将を長く務めたスーパースター、ウラジミール・ヴヤシノビッチがプレーヤーとしてチームを牽引しています。
 日本はこれ迄の試合で背中を痛めたCF志水、体調を崩した志賀をベンチに温存し、ベテランが中心のメンバーでこの試合に臨みました。今日の日本チームは打たせられるシュートやパスミスから相手速攻を受ける事なく、冷静な試合運びです。 強力なパルチザンCFのヴキチェビッチのセンターショット及び彼のポジションで発生する退水によって得点され、センターをカバーする為に下がるとミドルシュートを決められるという展開ではあるものの、ディフェンスでよく動いてセンターポジションをカバーすると共にボーラーへのアタックも敢行し、必死のディフェンスを展開し、ディフェンスでの動きは特筆すべきものがありました。
 日本はオフェンスでは速攻からのシュート及び速攻以降の二次速攻の動きの中で相手退水を誘発して得点を重ねます。停止した位置でのプレーが多い欧州型水球には日本の素早い動きによる攻撃が奏功していました。
 第二ピリオド終了の瞬間に塩田が放ったミドルシュートがゴールを割り、5-4でリードしてハーフタイム。
 第三ピリオドに入って大川が目の覚める様なミドルシュートを決めて6-4とした直後に、パルチザンCFヴキチェヴィッチが放ったバックハンドショットをGK棚村(克)が確りとブロックしたものの、シュートを放った肘がCB(センターバック)大川の目の上に当たり、出血した為、大川はここで退場。会場に元フリーマントル・マリナーズでプレーしていた外科医の先生が詰めていた為その場で縫合し、大川は第四ピリオド終盤に観客からの大声援を受けてベンチに戻る。
 大川を怪我で欠いた後の日本は竹井の速攻シュート、長沼のミドルシュート、若松のカットインからのシュートで加点し、遂に10-8で欧州の古豪パルチザン・ベオグラードを振り切って歴史的な勝利を挙げました。
 日本代表は怪我・故障者を出しながらも、それ以外のメンバーが活躍し、チームワークが更に向上してきています。体力的にも精神的にも今が最も辛い時期ですが、それを乗り越えてオリンピック予選に向けて心身共に更に強くなって行く息吹を感じた一戦でした。
 
第4戦結果

JPN  11(3, 4, 1, 3)
BAR  9(2, 2, 3, 2)  BPAR = バーバリアン

日本得点者:
志水4(PT1)、塩田3(PT1)、柳瀬2、青柳1、竹井1(PT1)

相手退水時の得点率
JPN 0/5 + ペナルティ・ショット 3/3
BAR 3/5 + ペナルティ・ショット 0/2

 日本は、バーバリアンを下しパルチザン・ベオグラード、フリーマントル・マリナーズ、日本が3勝1敗で同率首位になりましたが、これら3チーム間の得失点差が夫々+2, -3, +1となり、先ず得失点差が最大のパルチザンが1位抜けとなります。
 残りチームが2つとなった時点で直接対決結果が優先される事となり、日本は得失点差ではマリナーズを上回るものの直接対決で日本に勝っているマリナーズが2位となり、今夜再びバーバリアンと3位決定戦を戦います。

第5戦結果

 日本はバーバリアンズを下しパルチザン・ベオグラード、フリーマントル・マリナーズ、日本が3勝1敗で同率首位になりましたが、これら3チーム間の得失点差が夫々+2, -3, +1となり、タイブレーキングルール上、先ず得失点差が最大のパルチザンが1位となります。日本は得失点差ではマリナーズを上回るものの直接対決でマリナーズ日本に勝っている為、2位となり、日本は3位となりました。
 その結果今夜の3位決定戦で再びバーバリアンズと3位決定戦を戦いました。

JPN 7(1, 1, 4, 1)
BAR 9(3, 3, 1, 2) BAR = バーバリアンズ

日本得点者:
竹井3、長沼2、塩田1、志水1

相手退水時の得点率
JPN 1/4
BAR 3/8 + ペナルティ・ショット 1/1

 午前中の予選ラウンドで同じくバーバリアンズ(豪州代表数名を含む混成チーム)と対戦した時は、前夜の試合で額を切って欠場した大川を除いてほぼフルメンバーで戦い、バーバリアンズに11-9で泳ぎ勝ちした日本ですが、最終戦になって疲労の極致に到っている選手もいる為、3位決定戦は若手中心のスタメンで臨みました。何とか3位になってメダルを取りたい地元バーバリアンに試合序盤で連続得点を許してしまい、第4ピリオド序盤で同点に追い付いたものの、最後にバーバリアンズのミドルシュート及び日本退水時のパワープレーによる得点で振り切られてしまいました。
 決勝戦は地元マリナーズとパルチザン・ベオグラードの対戦となり、パルチザン・ベオグラードが欧州チャンピオンクラブの貫禄と意地を見せて11-9でマリナーズを振り切りました。順位は以下の通りです。

優勝 パルチザン・ベオグラード
2位 フリーマントル・マリナーズ
3位 バーバリアンズ
4位 日本
5位 中国

 今回マリナーズを1点差で追い上げ、優勝したパルチザン・ベオグラードに勝ち、バーバリアンズにも1勝を挙げた日本代表に対する地元の評価は高いものがありました。試合を経る毎にディフェンシステムへの意思統一が見られ、攻防共にチームとしての形が出来てきた様に思えます。
 地元パースの関係者からは是非オリンピック出場権を勝ち取って欲しいとの声援を随所で受けました。
 日本代表は明日以降パースに残ってフリーマントル・マリナーズとの合同練習を1月6日迄続け、1月7日にメルボルンに移動して8日からのパンパシフィック大会に臨みます。