2011 JO五輪レポート
小ゴールがもたらしたもの 洲 雅明
| 表1 A区分の小ゴール化によるシュート成功率の変化 表2 A区分の小ゴール化によるGKセーブ率の変化 ![]() コナミ明石GK 亀田遥介 |
ゴールの大小と得点との関係 小学生の試合では得点はどれくらい入るのでしょうか? 2009年度夏の全国ジュニアオリンピック大会における準々決勝以上の試合(4分×4ピリオド)では、1試合で1チーム当たり7.1点入っていましたが、2010年度夏大会では4.2点に減少しています。これは小学生区分で使用されるゴールが小さくなった影響といえます。 サッカーでも小学生では小さいゴールを使っているように、水球でも体格に合ったゴールを利用することで、ゴールキーパーとシューターの能力向上、そして試合を面白くすることを狙いました。大きさは正規ゴールが縦0.9m×横3mなのに対し小ゴールは縦0.7m×横2mで、大きいゴールに慣れていると、実際にこのゴールに向かってシュートを打とうとするとかなり小さく感じます。 このゴールを利用して各チームがどれくらい練習しているかという実態ですが、全国ジュニアオリンピック大会でベスト8のうち10年夏は5チームが購入したり塩ビパイプで枠を付けたりして対策していたのに対し、11年夏は7チームが同様の対策を講じています。正規ゴールを購入できないまでも、何らかの形でこの小ゴールを練習のうちから経験しておくチームが増えてきています。 このゴールを利用したゲーム分析を、全国ジュニアオリンピック大会(8/26-30・大阪)で実施しました。分析対象の試合は、昨年度に引き続き予選リーグを勝ち上がってきたベスト8による準々決勝以上の8試合で、25m×17mのフィールドを使い1ピリオド4分を4ピリオド行います。小ゴールになる前の一昨年のデータも同様に取っていますので、09春(大ゴール)、10夏(小ゴール)、11夏(小ゴール)の同条件3大会を比較してみます。ただ、Vゴール方式の延長戦が、09春が2試合76秒、10夏が1試合31秒、11夏が2試合412秒含まれています。一方、少し点差の開いた試合も見られます。各大会での点差は以下の結果です。
|
|||||||||||||||||||||||||||||
1年たってシュート成功率は向上したのか? さて、表(エクセル)をご覧いただくと。3大会の準々決勝以上のシュート成功率が分かります。大会で集計すると、09春(大ゴール)が44.4%で他の年齢区分などと比較してもかなり高いシュート成功率であったのが、10夏(小ゴール)で29.8%と一気に低下しました。この大会では、まだ小ゴールを経験していないチームや選手も多く、シュートがなかなか入らない、観ていても点がなかなか入らないといった感じがありました。特に予選リーグ4分×2ピリでは無得点で試合終了かという試合もありました。10春は大会が中止となりましたので、1年たった11夏大会では、小ゴールを使っての練習や大会が増えた結果でしょうか、シュート成功率は34.3%にあがりました。国内の様々な年齢区分の大会で低くて30%、高くて40%なのでその範囲内でした。 各攻撃パターン別のシュート確率をみると、傾向やチーム別の特徴がわかります。11夏大会から小学生区分でもフリースロー後の直接シュート(5mシュート)が可能となりました。このため。この分類のシュートが1チーム1試合当たり平均1.6本行われましたが、0.1点しか決まっていません。また、ゴールに慣れてきたこともありミドルシュートも増加の傾向にあります。10夏大会の4.8本から11夏大会の5.6本となりました。前回はゴールが小さくなったために、近くでシュートを打たないと入らない感もあり、フローターやカットインシュートが増えましたが、今回はそうでもありませんでした(数値は表を参照してください)。 このような結果から、まだまだ小ゴールは入りにくい感じがしますが、成功率的には適正な範囲にあると思われます。シューター、ゴールキーパー共にこの年代の体格の選手たちが技術を磨いていくためには利用価値があるのではないでしょうか。今後もう少し継続して、この小ゴールでの影響を調べていきたいと思います。 |