鹿児島南、初優勝!

 第79回インターハイは、8月17日から20日まで秋田市県立総合プールで行われた。初戦で秀明英光、前橋商など強豪校が次々と敗退、昨年の優勝校・福岡工業、準優勝校・山形工業も2回戦で敗れ、まさに戦国模様となった。
 決勝に勝ち進んだのは金沢市立工業と鹿児島南。金工は21年ぶり、鹿南は初の決勝進出(鹿児島勢としては39年ぶり)。監督はいずれも元全日本代表GK(金工=寺田高久、鹿南=江口朝永)、その影響もあってか、両チームともGKの堅守が光る。金工・河村は、準々決勝の埼玉栄戦では81パーセント、鹿南・福島は山形工業戦で86パーセントのセーブ率を挙げている。
 また両チームにはJOや全日本ユースで切磋琢磨している石川イーグルスや原田学園SSというジュニアチームが県内にあり、水球経験の深いメンバーの層が厚いことも共通している。
 決勝戦は、両監督の采配のもと、選手たちの死力を尽くしたレベルの高い好試合が期待できそうだ。(8月19日)

大会photo

2011秋田インターハイ結果
17日
関西 10-13 埼玉栄
鳥羽 18-7  大谷
城北 11-5  大分商
前橋商 13-3 鹿児島南
秀明 14-15 金沢市立工業
柏崎 43-3 高松南
18日
柴田 2-25 大垣東
鳥取中央育英 14-6 長浜北星
福岡工 9-10 埼玉栄
鳥羽 31-0 秋田西
四日市中央工 10-3 城北
鹿児島南 7-2 山形工
19日
埼玉栄 12-4 金沢市立工業
柏崎 10-13 鳥羽
鳥取中央育英 6-7 鹿児島南
四日市中央工 10-9 大垣東
金沢市立工業 8-7 鳥羽
四日市中央工 17-6 鹿児島南
20日
鳥羽 21-10 四日市中央工
金沢市立工業 6-7 鹿児島南
3年目の再対決
 
 今回のインターハイを語る前に、3年前(2008年)のJOチャンピオンは何処だったのか、この年から始まったU15(現在U16)全日本ユース(桃太郎カップ)の勝者は何処だったのかを思い出してみよう。
 JOは京都踏水会が夏・春連覇を成し遂げた。そのメンバーは、鳥羽高校に進み、2009年には国体(柏崎)優勝を成し遂げた。しかしインターハイでは、2年連続ベスト4にのこれず不振が続いた。主力メンバーが3年生となった今年は、その真価が試される最後の年でもあった。今回も準決勝で金工に競り負け3位、残された大会は国体のみとなった。

 2008年12月に始まった全日本ユース。これまでの大会の年齢区分とは違い、高校生も参加できる大会であった。中学生と高校生を混在させるには、全県的な調整も必要になる。U15大会はいわば、各クラブ主体であったジュニア水球を、県・地方レベルへ拡大させるものであった。
 原田学園SSと石川イーグルスの間で行われた第1回大会の男子準決勝戦は、今でも人々の記憶に残っている。壮絶な戦いはPK戦までもつれこみ、原田学園が勝利をものにし、その勢いを駆って、原田学園は第1回大会の栄えある優勝チームに輝いた。今回の鹿児島南はその原田学園優勝メンバーが中心である。一方金沢市立工業は、石川イーグルスのメンバーが中心。3年の時を経て、彼らがどのように成長したかを確認するためのインターハイ決勝戦となった。
 U15のメンバーが多いという特徴のほかに、両チームに共通するのはGKのレベル。両監督が全日本代表GKということもあって、守護神のレベルの高さは他のチームを圧倒していた。終わってみると、鹿南の福島が5試合で71パーセント、金工の河村が61パーセントでGKランキングの1、2位を占めている。鹿南の対戦相手が前橋商、山形工、鳥取育英高、四日市中央工と歴代の強豪ぞろいだったにもかかわらずこの高率は称賛に値するものであった。一方河村は脚の強さをうかがわせる長い滞空時間で、相手攻撃に隙を見せなかった。特に埼玉栄戦では、81パーセントという高セーブ率をたたき出した。決勝戦でも、2人ともにセーブ率63パーセントを挙げ、見応えのある守護神戦を展開した。両チームともよく泳ぎ、パス回しも速く正確、選手たちの攻守のシステムの理解も高いという点でも共通していた。

鹿南初優勝
 
 試合は鹿児島が松尾の狙いすましたかのような、GK右隅下を抜くシュートで先行した。金工は残り23秒、鳥越のフローターシュートで同点とするが、残り7秒、鹿南・坂上が松尾と同じようなコースを狙って得点。2対1とリードして第1ピリオドが終了した。
 第1ピリオドは緊張感が強かった金工だったが、第2ピリオドからは持ち前のスピードから前に展開する攻撃を見せ、第3ピリオド残り7分4秒には同点、残り2分57秒には4対3と逆転した。最終ピリオド残り5分35秒には川本のパワープレーで5対3、2点リードとなった。
 ここで金工は、ゴール前に選手を残しDFを固める作戦にでた。しかし、鹿南の疲れを知らない怒涛の攻撃が始まる。4分53秒に濱島、4分7秒に松尾、3分23秒に松下と連続得点して、わずか1分半で試合の主導権を我が手に取り戻してしまった。残り2分54秒には金工・鳥越のパワープレーで同点となったがそれもつかの間、2分30秒に松尾が決めて再逆転。金工はタイムアウトやミドルシュートで局面打開を図るが、刻々と時間は進み試合終了、21年ぶりの優勝はならなかった。
 試合後、松下キャプテンは「みんなで練習してきたことを試合で発揮することができた」と勝因を語り、江口監督は、「一生懸命あきらめず選手たちが頑張った。試合を経るごとに選手たちが力をつけてきた」と選手たちを称えた。
 鹿児島勢の優勝は、1972年の川内以来39年ぶりの快挙。鹿南は3度目の決勝戦で、彼悲願の初優勝を成し遂げた。国体では、1回戦でこの2チームが激突する。石川の雪辱なるか、それとも鹿児島が国体優勝への一歩を築くか、衆人注目の大一番になることは間違いない。

 
初優勝を果たした鹿児島南
惜しくも優勝を逃した金沢市工。国体で雪辱なるか
JOB区分優勝メンバーをそろえながら3位に甘んじた鳥羽高。
4位は四日市中央工。昨年の3位は守れなかったが、連続インターハイ上位入賞は努力の賜物